家電の昭和史電気ミシン

 

 

 

 家電の昭和史 (家電月報「ALLE」平成18年5月~平成22年2月号掲載)

このシリーズは「家庭電気機器変遷史」(当会の創立50周年記念行事として発行:平成11年9月)をもとに、社会の出来事なども交えながら、家電製品の主な歴史について編集したものです。

【ご注意】本サイトに掲載した記述は、各発行時点の内容です。実際と異なる点がありましたら

          ご了承願います。

 電気ミシン編(昭和20年~60年代/2009年12月号掲載) 

  昭和5(1930)年頃から、ミシンメーカーの研究が進み、それまでは、輸入に頼っていた家庭用

 ミシンの国産化が始まりました。 

◆昭和28(1953)

三角カムによる千鳥縫いミシン・セミジグザグおよび、フルジグザグミシンが誕生しました。

 ◆昭和36(1961)

軽合金製で、ミシン頭部の中にモーターが内蔵されたポータブル型電気ミシンが発売されました。以後、軽量化・コンパクト化が研究されるようになりました。

 ◆昭和41(1966)

従来のジグザグミシンの高級化が進み、模様の種類の増加が図られたスーパーオート・ジグザグミシンが発売されました。

◆昭和51(1976)

スーパーオート・ジグザグミシンで、軽合金製電動型の速度制御、針の上・下定位置停止、2スピード制御などが行える電子速度制御ミシンが発売されました。

この年の5月8日、植村直己氏が、昭和49(1974年)12月から行っていた北極圏での12,000㎞の犬ぞり探検に成功しました。

 

◆昭和53(1978)

 

本格的電子ミシンが発売されました。従来の千鳥縫いに採用されていたカム機構を一掃して、全面的に電子化された最高級のスーパーオート・ジグザグミシンでした。

また、同年には、上糸・下糸を自動カットし、針自動糸通し装置を内蔵した自動糸切り機構内蔵ミシン(146,000円)が発売されました。

 

◆昭和54(1979)

コンピューターミシンが発売されました。8ビットのマイクロコンピューターを使用し、縫い模様の多様化と操作の簡便化を図りました。

 ◆昭和58(1983)

 「押さえレバーを下げてください」「この模様では返し縫いができません」など、音声で対応するしゃべるミシンが発売されました。

この年の4月、岐阜県・神岡鉱山にカミオカンデが完成しました。当時、東京大学の小柴昌俊教授が素粒子の観測を始め、4年後にニュートリノが検出されました。それらの功績により小柴氏は、2002年にノーベル物理学賞を受賞しました。

 ◆昭和60

(1985)

縫い素材・縫い条件に最も適した糸調子をコンピューターで自動コントロールする自動糸

調子機構搭載ミシンが発売しれました。

 ◆昭和61

(1986)

小型(A4サイズ)軽量(3.0㎏)ながらコンピューターを搭載し、本格的な実用縫いが

できるブックサイズミシンが発売されました。

 ◆昭和62

(1987)

使用する糸の太さ、布の種類に最適な糸調子がとれるメカニカル式全自動糸調子付きミシ

ンが発売されました。

同年には、安価(58,000~73,000円)な小型なミシンや輸入品の大型刺しゅう機能を搭載

したミシン(248,000円)も発売されました。

 ミシンは手回し式や足踏み式から、電動になり、電子化、そしてコンピューター搭載へと進化し、

 キャラクターや複雑な模様まで簡単できれいに縫えるミシンが数多く開発されています。

 

● 主な電気ミシンの歴史 ●

◆昭和5(1930)年頃  電気ミシンの国産が始まる 

◆昭和28(1953)   ジグザグミシンが誕生

◆昭和36(1961)   ポータブル型電気ミシン発売 

◆昭和41(1966)   スーパーオート・ジグザグミシン発売 

◆昭和51(1976)   電子速度制御ミシン発売 

◆昭和53(1978)   自動糸きり機構内蔵ミシン発売 

◆昭和54(1979)   コンピューターミシン発売 

◆昭和58(1983)   しゃべるミシン発売 

◆昭和60(1985)   自動糸調子機構搭載ミシン発売

◆昭和61(1986)   ブックサイズミシン発売

◆昭和62(1987)   メカニカル式全自動糸調子付きミシン発売