家電の昭和史扇風機

 家電の昭和史 (家電月報「ALLE」平成18年5月~平成22年2月号掲載)

このシリーズは「家庭電気機器変遷史」(当会の創立50周年記念行事として発行:平成11年9月)をもとに、

社会の出来事なども交えながら、家電製品の主な歴史について編集したものです。

【ご注意】本サイトに掲載した記述は、各発行時点の内容です。実際と異なる点がありましたらご了承願います。

扇風機編(昭和20年~60年代/2008年7月号掲載)

 国産の扇風機が誕生したのは明治27(1894年)。まだ電気が珍しい時代で、スイッチを入れると扇風機が

 回ると同時に頭部にある白熱電球が点灯するものでした。当時の電気は、電灯しか認められていなかった

 ために電球を付けたと言われています。その後、大正7(1918)年に全て鋳鉄製で作られて黒くて重い卓

 上扇風機の量産が開始されました。

◆昭和22(1947)

それまで黒一色だった扇風機に若葉色などを採用し、カラー化が始まり感覚 的に涼しげなりました。    

◆昭和27(1952)年 羽根に初めてプラスチックが採用され、カラフルな羽根の幕開けとなりました。
◆昭和30(1955)年

コンデンサモーターの開発によりモーターが小型軽量化し、安定性が高くなるとともに運転音や振動が少なくなりました。

◆昭和32(1957)年 扇風機を台上に置く必要のない、高さを調整できる座敷扇風機が開発されました。この年の1月、第1次南極探検隊が、オングル島に上陸し、「昭和基地」と名付けました。当初は、南極観測隊ではなく、南極探検隊と呼ばれていました。
◆昭和35(1960)年 透明な羽根が開発され、一段と涼感が増した扇風機が発売されました。
◆昭和43(1968)年

押しボタンスイッチに代わり、電子スイッチが開発され、スタンド前面のタッチプレートに触れるだけで速度切り替えができる扇風機や無段階変速の扇風機が発売されました。

◆昭和45(1970)年 ガードに触れると羽根が止まる扇風機が開発され、同年には、おやすみタイマーの付いた扇風機も発売されました。この年の3月、日本でのハイジャック第1号となる「日航よど号事件」が起こりました。
◆昭和54(1979)年 和室にマッチする木目調が増え、120分のおやすみタイマーやデジタルタイマーを組み込んだ壁掛扇風機など、多様化が進みました。
◆昭和55(1980)年

初めてマイコンが採用され、自然で心地良い涼風を再現した扇風機が登場しました。また、高さが85~115㎝の間で調節でき、和室にも洋室にもマッチするリビング用扇風機が発売されました。

◆昭和57(1982)年 風量調節、タイマー、首振りなどが離れて操作できる、ワイヤレスリモコン扇風機が発売されました。
◆昭和61(1986)年 モーターの小型・薄型化により後部の出っ張りがなくなり、高さ60㎝の卓上扇風機と110㎝のリビング扇風機として使用できる扇風機が発売されました。

この後扇風機は、モーターや羽根の枚数や形状に改良を加え、安定性や静音性を向上させてきました。近年は、エアコンと併用し、室内の空気を循環させる快適で省エネになることから扇風機が見直されています。

●主な扇風機の歴史
昭和22(1947) 黒一色だった扇風機のカラー化が始まる
昭和27(1952) 羽根に初めてプラスチック採用
昭和32(1957) 置き台を使わず高さ調節できる座敷扇風機発売
昭和35(1960) 透明羽根の開発で一段と涼感が増す
昭和45(1970) ガードに手を触れると止まるストップ扇風機開発
昭和47(1972) ワイヤレスリモコン扇風機発売
昭和55(1980) マイコン制御扇風機発売
昭和56(1981) 水平以外にも上下や8の字に首振り可能な立体首振り扇風機発売
昭和57(1982) すべての機能対応のワイヤレスリモコン扇風機発売
昭和62(1987)

首振り専用のモーター採用により安定性が増し、デザイン性にも

優れたフロア扇風機発売