家電の昭和史電子レンジ

 家電の昭和史 (家電月報「ALLE」平成18年5月~平成22年2月掲載)

このシリーズは「家庭電気機器変遷史」(当会の創立50周年記念行事として発行:平成11年9月)をもとに、社会の出来事なども交えながら、家電製品の主な歴史について編集したものです。

【ご注意】本サイトに掲載した記述は、各発行時点の内容です。実際と異なる点がありましたらご了承願います。

電子レンジ編(昭和30年~60年代/2007年9月号掲載)

アメリカで開発された電子レンジは、台所には欠かせない便利な調理器として、いまではほとんどの家庭に普及していますが、当初は業務用の「再加熱用」として使用されていました。

   

◆昭和37(1962)年

国産第1号が発売(価格:54万円)されました。ちなみに当時の大卒初任給は、約17000円でした。

◆昭和39(1964)年

業務用として東海道新幹線のビュッフェに装備されて話題となり、そのスピード加熱ぶりが広く一般に認知されました。

 ◆昭和40(1965)年 

「電波で新しい味」「すばやく楽しいホームクッキング」をキャッチフレーズに初めて家庭用電子レンジが発売されましたが、実際には業務用として、ホットドッグなどの再加熱用に多く使われていました.

◆昭和41(1966)年

庫内の加熱ムラを減少させるため、食品を回転させながら調理するターンテーブル式の電子レンジが発売されました。 

◆昭和47(1972)年

冷蔵庫の上など高い場所に設置したときの操作性に配慮して、横開きタイプの電子レンジが発売されました。この年の9月、当時の田中角栄首相が訪中。周恩来首相と共同声明に調印し、日中国交正常化が実現しました。

◆昭和51(1976)年

低価格のファミリータイプ(価格:6万円)が発売され、購入層が大幅に拡大しました。また、従来は食品の種類・分量・初温により加熱時間をセットしていましたが、温度センサー付きの機種が発売され、自動で再加熱ができるようになりました。

◆昭和52(1977)年

内側から温める電子レンジと外側から焦げ目をつけられる電気オーブンを組み合わせた家庭用オーブンレンジが発売されました。

◆昭和53(1978)年

焼く・煮る・蒸すなどの調理が一台でできるスチーム発生装置付きオーブンレンジが発売されました。この年、東京・原宿の街中で派手な衣装を着て踊る「竹の子族」と呼ばれる若い男女のグループが現れ、話題となりました。

◆昭和55(1980)年

メニューキーを押すだけで100種類以上の料理が自動でできるオーブングリルレンジが発売されました。また、下ごしらえから盛り付けまでを声で知らせる、音声ガイドを採用したタイプの電子レンジも発売されました。 

◆昭和61(1986)年

オーブントースターと電子レンジが一体化したトースターレンジが、昭和63年には、練りから焼き上げまでパン作りが自動でできるホームベーカリー機能付きオーブンレンジが発売されました。

 
現在の電子レンジは、単機能の機種からさまざまな機能を持ったオーブンレンジまで、多機種の製品が普及し、より美味しく、そしてヘルシー指向にも対応しながら、いまも進化し続けています。

 ●主な電子レンジの歴史

 昭和37(1962)  業務用電子レンジ発売
 昭和40(1965)  家庭用電子レンジ発売
 昭和41(1966)  ターンテーブル式電子レンジ発売
 昭和47(1972)  横開きタイプ電子レンジ発売
 昭和49(1974)  出力切替え式電子レンジ発売
 昭和51(1976)  低価格のファミリータイプ電子レンジ発売
 昭和52(1977)  マイコン式電子レンジ、家庭用オーブンレンジ発売
 昭和53(1978) スチーム発生装置付きオーブンレンジ発売 
 昭和54(1979)年  1台5役のスチームオーブンレンジ発売
 昭和55(1980)年  自動調理が可能なオーブングリルレンジ発売
 昭和57(1982)年   専用キー付きセンサーオーブン電子レンジ発売
 昭和59(1984)年  重量センサーオーブンレンジ発売
 昭和61(1986)年  トースターレンジ発売
 昭和63(1988)年  ホームベーカリー機能付きオーブンレンジ発売
 

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