家電の昭和史洗濯機

 家電の昭和史 (家電月報「ALLE」平成18年5月~平成22年2月掲載)

このシリーズは「家庭電気機器変遷史」(当会の創立50周年記念行事として発行:平成11年9月)をもとに、社会の出来事なども交えながら、家電製品の主な歴史について編集したものです。

【ご注意】本サイトに掲載した記述は、各発行時点の内容です。実際と異なる点がありましたらご了承願います。

洗濯機編(昭和20年~60年代/2007年1月・3月号掲載)

日本で洗濯機の第1号が誕生したのは、昭和5(1930)年でしたが、高嶺の花であまり普及せず、たらいと洗濯板で洗濯する時代が長く続きました。

   

◆昭和24(1949)年

槽内中央のかく絆棒を回して洗濯する、かく絆式洗濯機が発売されました。

◆昭和271952)

振動式洗濯機が発売されました。振動式は、振動発生装置により水の共振作用を利用して洗濯する方式で、布傷みの少ないという利点がありました。翌年の昭和28(1953)年には、噴流式洗濯機が発売されました。噴流式は、底にある平たい凹凸のある皿が回って洗濯する方式で、機構がシンプルで洗濯時間が短く、かく絆式に比べ半値に近い価格だったため、主婦層の好評を得て普及しはじめました。

◆昭和291954)

脱水機付き洗濯機が発売されました。この頃の脱水機は、洗濯機の側面にゴムのローラーが上下2本あり、そのローラーに洗濯物を挟み付属のハンドルを回して水を絞りました。青函連絡船「洞爺丸」が転覆し、タイタニック号に次ぐ世界海難史上 2番目の惨事となったのもこの年でした。

◆昭和341959)

単体の遠心脱水機が発売され、これにより脱水機の機能が一般に認知されるきっかけとなりました。この年には日本レコード大賞が始まり、第1回の大賞受賞曲は、水原弘が歌った「黒い花びら」で、大流行しました.

◆昭和351960)

ローラー式に代わって遠心脱水機付2槽式洗濯機が発売され、洗濯機能と脱水機能の一体化が実現しました。

◆昭和401965)

それまで全自動洗濯機は、かく枠式もドラム式も温水による洗濯が前提条件でしたが、水で十分に洗濯できるようにパルセーター(回転翼)の形状を工夫した全自動洗濯機が発売されました。この年、東京上野の東京国立竈博物館で「ツタンカーメン展」が開幕し、期間中に100万人以上の入場者で賑わいました。

◆昭和47(1972)年

洗いからすすぎまでを自動化した自動2槽式洗濯機が発売され、2年後の昭和49(1974)年には脱水しながらシャワーで泡を取るなど工夫された節水タイプの全自動洗濯機が発売されました。


このように洗濯機は戦後、急速に進化しましたが、その後、乾燥機付き全自動洗濯機が主流となるのは、ずっと後のことです。
洗濯機は、昭和50年代に入ると、さまざまな洗濯コースを選べるようになり、また、省エネ・節水・騒音などへの配慮もされるようになりました。


◆昭和52(1977)年

従来の機械式タイマーをマイコン制御に変更し、10通りの洗濯コースが選べる全自動洗濯機が発売されました。また、洗濯機の上に衣類乾燥機を設置する専用スタンドが一般化し始めたのもこの年です。

◆昭和54(1979)年

まとめ洗いができるよう大容量化のニーズに応えた洗濯容量4.2kgの大型2槽式洗濯機(当時は2kgが中心)や、洗濯方法を使い分けられる手動。自動セレクト式洗濯機が発売されました。

◆昭和55(1980)年

通常の大型洗濯槽の他に、子供服や靴下などの小物が洗えるリトル洗濯槽を備えた3槽式洗濯機が発売されました。この年は、ツービート、B&B、紳助・竜介、ザ.ぼんちなど、さまざまな芸人が登場し、「MANZAI」ブームが起きました

。また、「コマネチ」「紅葉饅頭」など、多くのギャグや流行語で日本中が笑いに包まれました。

◆昭和57(1982)年

布傷みや洗いムラを減らしたり、からみを防止したりできるようパルセ-ター(回転翼)の取付位置や形状を改良した機種が発売されました。この年、カード式公衆電話が設置された他、国鉄(当時)が企画し、上原謙。高峰三枝子が登場した「フルムーン」のCMが話題になり、熟年夫婦の旅行が増えました。

◆昭和59(1984)年

今では当たり前になっている風呂水自動吸水ポンプ付き全自動洗濯機が発売されました。また、洗濯容量5.0kgの全自動洗濯機が発売され、自宅で毛布やカーテンなどの大物も洗えるようになりました。

◆昭和62(1987)年

2槽式洗濯機とほぼ同じ幅で全自動洗濯機と衣類乾燥機が一体になった乾燥機付き全自動洗濯機が発売されました。

◆昭和63(1988)年

布量にあった「水位」「水流」「時間」を自動的に選択して自動運転する布量センサーを採用した全自動洗濯機が発売されました。この年、着工から24年の歳月をかけた青函海底トンネルや瀬戸大橋も開通しています。


このように昭和5年に登場した洗濯機は、昭和の後半にかけてマイコン制御や大型化、洗濯。脱水の一体化が進みました。そして現在では洗濯容量9kgの機種も登場し、洗濯乾燥機も普及し始めるなど、時代のニーズに応えながらさらに進化し続けています。


 ●主な洗濯機の歴史

 昭和24(1949)年  かく拝式洗濯機発売
 昭和25(1950)年  洗濯機と脱水機を組み込んだドラム式洗濯機発売
 昭和27(1952)年  振動式洗濯機発売
 昭和28(1953)  噴流式洗濯機発売 
 昭和29(1954)  脱水機付き洗濯機発売
 昭和31(1956)  自動反転式洗濯機発売
 昭和32(1957)  全自動ドラム式洗濯機発売
 昭和34(1959)  遠心脱水機発売
 昭和35(1960)  遠心脱水機付2槽式洗濯機発売
 昭和38(1963)  2槽式脱水洗濯機発売
 昭和40(1965)  (温水でなくても)水で洗える全自動洗濯機発売
 昭和47(1972)  自動2槽式洗濯機発売
 昭和49(1974)  節約タイプ全自動洗濯機発売
 昭和52(1977)年  マイコン制御で10通りの洗い方が選べる全自動洗濯機発売
 昭和54(1979)年  洗濯容量4.2kgの大型2槽式洗濯機発売
 昭和55(1980)年  シャワーすすぎ方式2槽式洗濯機発売
 昭和56(1981)年  マイコンによる水流自動制御の全自動洗濯機発売
 昭和57(1982)年  パルセーターの改良でタテ、ヨコ水流により押し洗い、もみ洗いができる全自動洗濯機発売
 昭和58(1983)年  洗濯液が再利用できる全自動洗濯機発売
 昭和59(1984)年
 風呂水自動吸水ポンプ付き全自動洗濯機発売
 昭和59(1984)年
 洗濯容量5.0kgの全自動洗濯機発売 
 昭和60(1985)年  布量を計り、それに応じて水、洗剤を自動投入する全自動洗濯機発売
 昭和61(1986)年  洗濯の終了時間を予約できるタイマー付き全自動洗濯機発売
 昭和62(1987)年  低騒音ダイブの全自動洗濯機発売、全自動洗濯機と衣類乾燥機が一体になった乾燥機付き全自動洗濯機発売
 昭和63(1988)年  洗濯容量6.0kgの全自動洗濯機発売

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